JOURNEY

SDGs先進地の徳島で地域共生を事業の柱に掲げる「アオアヲ ナルト リゾート」へ

2022.05.12 THU
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SDGs先進地の徳島で地域共生を事業の柱に掲げる「アオアヲ ナルト リゾート」へ

2022.05.12 THU
SDGs先進地の徳島で地域共生を事業の柱に掲げる「アオアヲ ナルト リゾート」へ
SDGs先進地の徳島で地域共生を事業の柱に掲げる「アオアヲ ナルト リゾート」へ

関西方面からクルマ旅で四国を訪れる際、最初に立ち寄りたいのが徳島県鳴門市にある「アオアヲ ナルト リゾート」。「瀬戸内海国立公園」内に立地する環境は素晴らしく、美しい自然を感じて滞在しながら県全体で推進するSDGsアクションの一端にも触れられる。徳島が質的に豊かな土地柄であることを実感できる時間が待っている。

Edit & Text by Takashi Osanai
Photographs by Shu Okawara

カーボンニュートラル社会の実現に県を挙げて取り組む徳島

四国の東部に位置する徳島は、近年、県を挙げてSDGsに取り組んでいる。水素エネルギーの利活用はその一例で、「2050年温室効果ガス排出実質ゼロ」実現に向け、二酸化炭素や排ガスを出さない究極のクリーンエネルギーの実用を進めているのだ。

2021年12月からは、徳島バスが水素バス(燃料電池バス)2台の運行をスタート。このバスは水素タンクに充填された水素と空気中の酸素から電気を作り、モーター駆動で走行するため走行時に二酸化炭素や排気ガスを排出しない。まさに“地球にやさしい路線バス”で、徳島駅前から徳島空港や鳴門公園(徳島県鳴門市)など4路線で1日11便を運行。県ではこの水素バスの実装により運輸部門のカーボンニュートラル化をいっそう推進したいとしている。
「アヲ」はやまと言葉で「会う・合う」を意味し、スタッフは“一期一笑”の姿勢でゲストをもてなしてくれる
「アヲ」はやまと言葉で「会う・合う」を意味し、スタッフは“一期一笑”の姿勢でゲストをもてなしてくれる
豊かな海を守る意識も高い。県の東北端に位置し淡路島と向き合う鳴門市では、渦潮で知られる鳴門海峡に臨む一帯が「瀬戸内海国立公園」に指定されている。世代を超えて継承すべき美しい自然が見られる同公園の海の透明度は高く、また多様な生きものの生息環境と美しい景観の保全・再生に努めるため、鳴門市は国や県と連携を図りながら海岸の侵食対策などを講じてきた。同エリアはタカをはじめとした野鳥の渡りの主要なルートとしても有名であり、淡路島と四国・徳島を結ぶ大鳴門橋で普段は夜間のライトアップがされないのも、環境にインパクトを与えない配慮なのだという。
リゾートから大鳴門橋を一望。その向こうには淡路島も見える
リゾートから大鳴門橋を一望。その向こうには淡路島も見える
こうした事例を筆頭に、SDGsのさまざまなアクションを行う徳島県は、カーボンニュートラル社会の実現に向けたクルマづくりを行うLEXUSと親和性の高い場所だといっていい。そして環境意識の高いこの地にあって、大鳴門橋を渡ってすぐの場所にある南欧風リゾート「アオアヲ ナルト リゾート」は、地域共生を近年の事業の柱に据える。自らがハブとなり人的交流を促すことで、地域の持続可能性を高めたいと考えている。

「瀬戸内海国立公園」内に立地する「アオアヲ ナルト リゾート」

ゲストルームから大鳴門橋や淡路島を望める同リゾートは、神戸淡路鳴門自動車道の鳴門北ICで降りてすぐの場所にあり、大阪をはじめとする関西圏からは100kmほどのドライブでたどり着く。途中、明石海峡大橋、大鳴門橋と2つの海峡を渡る橋では、視界に瀬戸内の美しい青を捉えながらのドライブ。LEXUS LFAに始まる“F”のスピリットを受け継ぐUX250h “F SPORT”なら、2つの橋を合わせて6km近くも続く海上の絶景ロードを快走し、痛快な気分に浸って四国入りすることができる。
建物は白を基調として清潔感と開放感にあふれ、異国に来たような気分にさえ浸ることができる
建物は白を基調として清潔感と開放感にあふれ、異国に来たような気分にさえ浸ることができる
そして文字通り“四国旅へのエントランス”となるのが「アオアヲ ナルト リゾート」。「瀬戸内海国立公園」内に全室オーシャンビューで建つ環境は素晴らしく、部屋へ通されると、まず窓からの景色に息をのむ。それは海と空のみで構成され、とにかく青い。しかもその青は太陽の位置によって色を変え、だから常に景色の表情は変わり続ける。
採光が抜群の「テラスカフェ オーゲ」ではアフタヌーンティーや自家製スイーツを堪能したい
ベージュを基調とする上質なコート ダジュール スイートではバスタイムも優雅
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朝は朝日が昇るのを見ながら迎えることができる。まだ薄明時の瀬戸内海はもやに包まれ、太陽が少しずつ昇っていくにつれて暖色を帯びていき、それにつれて風景は力強さを増していく。やがて停泊していた漁船が操業を始め、借景が動きを伴うことで明確に一日が始まったことが告げられる。
部屋から望める朝焼け。天然色によるグラデーションが美しい
部屋から望める朝焼け。天然色によるグラデーションが美しい
豊かな自然を意識せずとも感じられる滞在。それがこのリゾートでゲストの誰もが期待できる魅力であり、加えて滞在中には、先述したような地域の風土に触れられるサービスを利用できる。それは食や体験ツアーという形で提供され、食であれば館内に5つあるレストラン&カフェすべてで地産の食材が堪能できる。地域共生の理念に基づく姿勢から、近隣の港で揚がった新鮮な海の幸をはじめ、地元で作られた無添加のソーセージやハム、鳴門金時、鳴門わかめ、神山すだちなどの配合飼料で育てた元気鶏の卵、全国一の生産量を誇る藍住町の春ニンジンを代表とする阿波野菜など、 “阿波ふうど”と呼ばれる地産の食材が積極的に使われる。
「FOUR SEASONS」では月・水・金・日のみメイン以外をビュッフェで食せるプレミアムブレックファーストを展開
「鳴門海鮮 鳴門」の夏のコースは11品。
「鳴門海鮮 鳴門」の六車智裕料理長。
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体験を通して地域も宿泊客も元気になる仕組みが重要

体験ツアーについてはゼネラルマネージャーの高橋裕二氏が説明してくれた。

「弊社ではワカメ棚を所有していて、初春の収穫期にはホテルのビーチから船に乗り、ワカメを収穫する体験プランを提供しています。採れたての生ワカメはお土産用に塩蔵加工するほか、しゃぶしゃぶでの試食もご用意。お湯でさっと湯がくと茶色から奇麗なグリーンに変わっていき、鮮度が良いからシャキシャキとした歯応え自体が未体験だと好評です」

伝統工芸に触れられるメニューも用意する。

「藍染めのできる施設を館内につくり、4月23日から藍産業振興協会とともに化学染料を使わない伝統的な染め方、天然灰汁(あく)発酵建てによる藍染め体験サービスを開始しました。徳島は藍染めのもとになる天然染料“すくも”づくりの本場。お金がかかり、しかし爆発的には売れず、それでも残していくべき伝統工芸を未来につなぐ取り組みとして考えています」
藍で染めた「阿波藍ルーム」は4室を用意。
「アオアヲ ナルト リゾート」の未来について語ってくれたゼネラルマネージャーの高橋裕二氏
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そのほか、地元の農園と協力して鳴門金時掘り、イチゴや梨などの果実狩りといった体験コンテンツをそろえる。さらに今後は国立公園内のビーチを散策し、漂着物を収集しながら海洋ゴミなどについて学べる教育コンテンツもプランニングしていきたいと話す。
鳴門金時をたっぷり使った自家製タルト。「テラスカフェ オーゲ」で味わえる
創業当時からの看板スイーツが鳴門金時をたっぷり使った自家製タルト。「テラスカフェ オーゲ」で味わえる
「鳴門や周辺地域には、すでにいろいろな技能を持っている人が多くいます。そのため観光振興に際しては人との触れあいにスポットを当て、伝統工芸従事者など地域の宝となる人たちをつないで地域全体を盛り上げていく方向が良いのではないかと考えます。農作物であれば、生産者、販売者、調理して提供する者、サービス従事者といった立場の異なる人が一つの輪をつくり、当リゾートの宿泊客へ届ける。そうして地域も旅行者も元気になる仕組みが永続的に観光地であるためには必要でしょうし、我々はその輪の核となり、地域とゲストをつなぐ役割を担える存在になりたいと思っています」

少子高齢化や人口減は多くの地方が抱える課題だが、「アオアヲ ナルト リゾート」はピンチをチャンスと捉えた。地元を有機的につなげることによって、鳴門に観光地としての持続可能性をもたらそうとしているのだ。

リゾートの外に出て徳島の文化や風土に触れる

施設から一歩外に出ると、「アオアヲ ナルト リゾート」は多くの徳島の文化や風土にアクセスしやすい立地であることが分かる。ベートーベンの交響曲第九番がアジアで初めて演奏された「鳴門市ドイツ館」や、お遍路のスタート地点である一番礼所「霊山寺」が近くにあり、徳島県で唯一の国の伝統的工芸品に指定された大谷焼の窯元が集う「大谷焼の里」も鳴門市にある。
藍染めの染料を入れる藍がめなど大物陶器が敷地を埋める光景は圧巻。その背後では登り窯が存在感を放つ
藍染めの染料を入れる藍がめなど大物陶器が敷地を埋める光景は圧巻。その背後では登り窯が存在感を放つ
大谷焼は江戸時代後期から240年以上の歴史を紡いできた徳島を代表する伝統工芸品。水がめやスイレン鉢など大物陶器が有名ながら、コーヒーカップや一輪挿しなどの生活雑貨、作家性の高い焼き物までがそろう。特に最近は代替わりをした窯元が増え、モダンな作風が注目される若い世代も多い。創業110年の「森陶器」も先代の父、森行雄氏から継承した5代目の崇史氏が現場を預かる。京都の芸術大学で陶芸を学び、磁器を扱う作家の元で修業を積むといった学びの時間を過ごして鳴門市に戻った人だ。
「森陶器」の5代目、森崇史氏
東京五輪のイメージカラーとなった藍色。以来、「ジャパンブルー」をまとう陶器の人気が上昇
店内には日常使いできるさまざまな陶器がそろう。またロクロを使った陶芸体験も提供している
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「1912年の創業以来、森陶器では継承してきた伝統的な技法や風合いを守りながら、今も陶土や釉薬も自分たちで手がけるなど、全工程を手作りしています。容量900ℓの大がめのような大物は、一人が寝て足でロクロを回し、もう一人が成形する独特の技法“寝ロクロ”で作っていますが、この製法は大谷焼を象徴するもの。現在では森陶器ともう一つの窯元だけで行っています。そうしたルーツを大切にしながら、今後は時代のニーズに即したモダンな作品作りを意欲的に行っていきたいですね。新しい魅力を打ち出し、若い世代など、より多くの人に手に取ってもらいたいんです」

敷地内には国の有形文化財に登録される築100年超の登り窯が威風堂々とそびえる。確かな歴史が築かれてきた由緒あるこの地で、次世代の担い手は新しい未来を切り開く挑戦を始め
ていた。
「大谷焼の里」には現在6軒の窯元がある。「大西陶器」もその一つ
「大西陶器」でも大物陶器を手がける一方、徳利など日用品としての陶器が多くそろう
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脱炭素化の時代、鳴門の存在感はいっそう高まる

その立地から四国への東の玄関口となるだけでなく、「アオアヲ ナルト リゾート」のある鳴門市は徳島独自の文化に多く触れられ、旅の好スタートを約束する地といえよう。さらにカーボンニュートラル時代、BEVでの旅においては、いっそう存在感を強める場所になるだろうと同リゾートの高橋氏は予測する。
移動の疲れは鳴門の海を望める露天風呂で癒やし、いざ次の目的地へ
移動の疲れは鳴門の海を望める露天風呂で癒やし、いざ次の目的地へ
「施設の拡充とアナウンス次第では、関西から大鳴門橋を渡ってアクセスしたあと、そのまま四国の奥に進むよりも“鳴門で車両の充電をしっかりしておきたい”というニーズが増えると考えられます。そのため当リゾートでも急速充電スタンドの拡充を図り、近い将来には水素ステーションも設置したい。そうして『アオアヲ ナルト リゾート』に行けば充電できると知ってもらえれば、“遠出はしたいけれど充電はどこでできるのだろうか?”と不安を抱く方々も、安心してクルマ旅に出発できると思うのです」

ドライバーへの気配りも滞在を考えたくなるポイントのひとつだ。未来の社会を感じられる徳島と、その先へ。四国旅のエントランスとしての存在感は、いっそう強まっていく。


アオアヲ ナルト リゾート 
https://www.aoawo-naruto.com
森陶器 
https://morigama.jp
大西陶器 
https://onishitoki.jp

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